MCI(軽度認知障害)スクリーニング検査
当院では「MCI(軽度認知障害)スクリーニング検査」(血液検査)を行っております。
お気軽にご相談ください。
厚生労働省の発表によると2025年には65歳以上の高齢者のうち認知症の方は、
5人に1人(約700 万人)に増加すると予測されています。
さらに、認知症予備軍といわれる軽度認知障害(MCI)の人は、認知症の方と同数程度いるといわれています。
MCI(軽度認知障害)スクリーニング検査のすすめ
MCI(軽度認知障害)ってなに?
健常者と認知症の中間の段階、つまり認知症の前段階の状態をいいます。
MCI: 軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment)
- 本人または家族から物忘れ(記憶障害)の訴えがある。
- 正常高齢者に比較して、記憶力が低下している。年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害がある
- 記憶以外の全般的な認知機能はおおむね正常。
- 車の運転や家庭生活など日常生活上問題なし。
- 認知症ではない。
上記の通りMCIの段階では、まだ問題なく日常生活を送ることができます。
MCIは認知症ではありませんが、完全に健康な状態でもありません。
しかし、治療や予防対策をしないまま生活を続けると1年でMCIの方の12%(健常者からのアルツハイマー型認知症の発症は年間1~2%)、数年間で約半数の方が認知症になるといわれています。これが「認知症発症予備軍」といわれる理由です。
アルツハイマー型認知症が発症しますと、現在の医学では薬物療法等により認知症の進行を遅らせることはできても、認知機能を改善させたり、進行を止めることはできません。
最近の研究では、MCIの段階で適切な治療や予防対策を行うことで、認知症の発症を防いだり、遅らせることができることがわかっています。
そのためには、MCIの段階で認知機能の低下になるべく早く気づき、予防対策を行うことで症状の進行を阻止することはとても重要となります。
認知機能低下に対する適切な対策を行うことで、MCIであったとしても、認知症の症状が最後まで出ずにすんだり、発症させずにすむケースもあります。
ご自身はもちろん、ご家族や身の回りの大切な人のためにも定期的なチェックをお勧めします。
MCIスクリーニング検査
MCIスクリーニング検査は、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の兆候やリスクをはかり、MCIを早期に発見できる血液検査です。
「MCIスクリーニング検査」は何を調べるの?
認知症の中で最も患者数が多いのがアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症は「アミロイドβ」という老廃物が脳内に蓄積し、脳の神経細胞を破壊することで、記憶などの認知機能が徐々に低下していき発症します。
このアミロイドβペプチドはアルツハイマー型認知症が発症する約20年前から脳内に溜り始めます。
この原因となる「アミロイドβペプチド」を排除する3つのたんぱく質を調べることで、軽度認知障害(MCI)の可能性があるかどうか、リスクを判定するのが「MCIスクリーニング検査」です。
こんな方にお勧めの検査です!
- 45~50歳以上の方
認知症は70歳代で発症が急激に増えることが分かっています。 発症の約20年前からアミロイドβペプチドの蓄積が始まるため、45~50歳以上の方は、自覚症状がなくても検査をお勧めします。 - 認知症への不安を抱いている方
健康診断と同様に、定期的に検査を受けることでご自身の状況を確認できます。 - ご家族が「これまでと違う」「最近ちょっと変 …。」と異変に気付いた場合
軽度認知障害(MCI)の状態では本人にも物忘れの自覚がありますが、以前と様子が違うとご家族が気付いたときには、検査を受けることをお勧めします。 - 最近「物忘れ」が気になる方
- ご家族に認知症の方がいらっしゃる方。(遺伝子検査のAPOE検査も同時に行うこともお勧めします。)
検査の特徴
- 自覚症状がない段階で、MCIを発見できます。
- 1回10㏄程度の採血のみによる簡単な検査です。
- 検査当日、朝食を食べても問題ありません。
- 特殊な薬剤の投与の必要はありません。 放射線など被爆のリスクもありません。
- 他の血液検査と同時にできます。(この場合は朝食を摂らずに来院ください。)
費用について
MCIスクリーニング検査は健康保険対象外(自費)となります。
詳しくはクリニックスタッフにおたずね下さい。
検査結果について
結果が出るまでには2~3週間ほどかかります。
判定結果はリスクに応じてA~Dの4段階
- A: 1~2年に1回は検査を受けましょう
- B: 1年毎の定期検診を受けましょう
- C: 6ヶ月~1年毎の定期検診を受けましょう
- D: 2次検査をお勧めします
健康診断と同じように定期的に検査を受けることで、ご自身の変化を早い段階で気づくことが可能です。
健康な方でも高齢になるにつれて、認知症やMCIのリスクは自然と高まります。検査の結果に関わらず、生活習慣を改善し予防に取り組みましょう。
認知症予防について
認知症は生活習慣病の一つでもあります。
「自分はまだ大丈夫」
「自分は認知症にはならない」
「年取れば誰だって物忘れくらいするから平気、平気」
と油断している方は早期の症状を見逃す可能性がありますので要注意です。
元気なときにこそ生活習慣を改善し、認知症や糖尿病に代表される生活習慣病にならないことも認知症の発症の予防にはとても大切です。
アルツハイマー型認知症遺伝子APOE(アポイー)検査
APOE遺伝子検査はAPOEという認知症の遺伝子の型を測定することによって、アルツハイマー型認知症になりやすい体質かどうかを測定することができる検査です。
20歳や30歳など若い方でも検査可能ですし、むしろお勧めします。採血のみで将来のアルツハイマー型認知症になる確率が判明します。
例えばAPOE4(ε4)の遺伝子型を持っていると、ε4をもっていない人と比べてアルツハイマー病になるリスクが高いと言われています。
APOE4(ε4)を一つ持っている方で3.2倍、ε4を2つ持っている方で11.6倍の 発症リスクがあることが判明します。年齢に関係なく検査をお勧めします。
アルツハイマー型認知症の発症は、遺伝的要因以外に加齢や生活習慣などが関係しています。 AOPE遺伝子検査は、アルツハイマー型認知症の発症のリスクを調べるものであり、将来の発症の有無を判定するものではありません。